ブラック企業という言葉が広く認識されるようになり、労働トラブルは企業に奉職している方にとっては他人事ではないことが知られるようになりました。コンプライアンスの重要性が広く叫ばれる中にあっても、労働基準法をはじめとした法令を遵守しないまま過酷な条件で就労することを強制している企業はいつの時代にも存在しているのは事実です。自分の権利を守るためには、積極的に活動することも大事といえます。労働審判は、そのようなシチュエーションで使用者と労働者の労働トラブルを迅速に解決するための手続きとして重要な位置を占めています。
労働審判とは裁判所に設置されている合議体で構成されており、使用者と労働者の間の労働トラブルを簡易かつ迅速に解決することを目的に運営されている紛争解決機関のことです。労働トラブルを解決するには、通常訴訟の選択肢もあります。しかるに通常訴訟では審理を担当するのは職業裁判官のみであって、争点が複雑で双方の主張が対立していれば審理終結まで1年を超えることも珍しくありません。この点労働審判では最長でも審理は3回のみとされており、7割以上の案件は申し立てから三か月以内に終了します。
加えて労働審判では職業裁判官1名のほかに専任の審判官2名が合議体に加わり労働トラブルの特性を踏まえて、迅速で具体的妥当な解決を期待することができるのが特徴です。それというのも審判官は労働問題に詳しい専門家が起用されるからです。